氷がつくりだす美しい景観のこと・・・

国道19号線を南下して奈良井宿を過ぎ、そして木曽福島宿を少しこえた交差点を
御嶽山の懐に入っていくのです。
そこを源とする沢山の支流の内のひとつに、
真冬の厳しい寒さによって岩肌から伝った清水が凍りつき、
氷のカーテンを織り上げたかのような『白川氷柱群』があります。
限りなく美しい空気と湧き出る水が、氷点下10度を下回るそんな環境の中で
青色をまとった美しい彫刻となり織り成す壮大な情景は、
みつめていると涙があふれそうなほどの美しさなのです。
時折…一塊の雪や水滴が水面に落ちて発する音の響きは
金管楽器を優しくなぞった様な、そんな音色を奏でます。
周りには何もない…大自然がひろがるだけのそんな所にあるこの彫刻を
ただただ、無心でながめているのも良いものなのです。

無心…と書きましたが、おむすびと熱いお茶を持って行くのがおすすめです。

何もない…と書きましたが実は…‥小坂温泉『けやきの湯』があり
不定休ですが、日帰りで温泉につかることもできるのです。

そしてもうひとつ。ここに至る途中にブッポウソウの繁殖地があるのです。
瑠璃色の翼とオレンジのクチバシが鮮やかな美しい鳥で、
『森の宝石』と呼ばれるこの鳥の鳴き声は、
平安時代から千年以上もの間謎のままにされてきたそうなのです。
そんな鳥に会いに、また夏の時期に必ず来ようと思わずにはいられませんでした。

ここはホテルから、木曽方面に向かっておよそ2時間程の所にあるのです。

穂高の町…

穂高駅から始まるメインストリートを進み
右手に穂高神社の大きな鳥居が見え始める頃
店先のベンチに置かれたかわいい小物が目に留まります。
ガラス越しにのぞく店内には、ひき込まれるほどのクラフトたちがいっぱい!

『なんか見たことあるなぁ…』
さて…このクラフトショップ
どこかでみたことはないでしょうか‥‥
山女日記…
湊 かなえさんの小説であり、昨年末のテレビでも放送されていましたね。
自分の生き方に疑問や悩みを抱えた女性たちが、
登山を通じて答えを探しながら前向きに生きてゆく…
山岳ガイドとして、山を愛する主人公に工藤夕貴さんが
体当たりで演じておられたのが印象的でした。
その、主人公が自身で作った帽子の販売を委託するお店
『クラフトショップ白馬』  ドラマのロケ地だったのです。
ぜひのぞいて見て下さいね。

http://www.azumino.to/index.html

そして、大きな石で造られた鳥居の下…すぐそばに、
目的のお蕎麦屋さんがあるのです。
『蕎麦 とりい 』

玄関先にかかる暖簾とその横の丸窓が、なにかしら懐かしい気持ちにさせられて
ふらりと入ってみたくなるような、そんな佇まいなのです。
初めて入ったあの日は、温かい『きつねそば』
『蕎麦やのに、なんできつねやねん?』と大阪で育った私も
以前は頭の中がこんがらがった時期がありましたが、
最近はほぼ信州人になったんやなぁとしみじみ思うのです。
【大阪で「きつね」といえば油揚げのうどんだけを指し、
「たぬき」といえば油揚げののったそばになるのです。】

出てきたおそばは、9割のそば粉を小麦粉でつないだコシのある細い麺…
ひと口含んで嬉しい気持ちになりました。
今度は是非…ざるそばを食べに来たいなぁと思わせる美味しさなのです。

写真は後日いただいたざるそばと、
そば粉と米粉を一緒にこねて炙った団子です。
またひとつ…お客様に紹介できるお店ができました。

だるまさんに願いを込めて…

今年もだるまさんを求めて、
江戸時代からの伝統行事である小布施の安一に行ってきました。
毎年1月の14・15日に行われ、老舗の前では「安市楽座」が開かれて、
特産物の振る舞いも行われます。
昨年いただいたお汁粉の色はやさしい黄色…
小布施の特産品である栗からつくられており、
その味は、いっぺんでとりこになってしまう程なのです。
天照大御神を祀ってある皇大神社の境内に、
今日の目的のだるまさんたちが並べられており、
行者さんによる「火渡りの神事」が行われる場所までを歩きながら
連れて帰るだるまさんを探すのです。
ことしは…‥

前日からの雪の為に、小布施に到着するのが遅くなり、
栗のお汁粉のかわりに、甘酒をいただくことになりました。
お汁粉は人気者なのですね。
午後3時…『ドン…ドドン』という花火の様な音が鳴り響き
行者さんによる「火渡りの神事」が始まったようです。
甘酒を持ったまま固まる私…
何事も、時間に余裕を持ってあたることの大切さを
だるまさんに教えていただいた瞬間です。

だるまさんは、願いを込めながら向かって右側に目を入れるのです。
そしてその願いが叶うと、もう一つの目に墨をいれる。
昨年は…ひとつ先に叶った願い事。小さく丸い瞳を描いたのですが、
どうみても、びっくりした顔のだるまさんになってしまったのです。
神棚にだるまさんを鎮座させる場所には、
ことしのだるまさんが少しだけ大きくて納まりません。
神棚の右側にだるまさん専用の飾棚をつくることが、
今年の自宅での最初の仕事になりました。
これで毎年少しずつ大きくなっていくだるまさんにも
安心してもらえるなぁ…などと思う新春のいちにちになりました。

次にだるまさんに会えるのは、2月11日…大町市で「あめ市」が開催されます。
古来生活必需品であった塩を売った「塩の市」が転じて
今に至ると言われている伝統的なイベントです。

 

旅人のこころの中は…

安曇野の玄関口である松本駅のホームに立っている。
この駅を起点にして、上高地線、北信に誘う路線とともに
大糸線が始まるのです。
大正時代に民間の信濃鉄道が開業した路線をその後延長して
国有化した歴史があるためか、安曇野を貫く路線では
北信に向かう路線と比べて、駅の数が多いのです。
初めて安曇野に向った日は…
ちょうど季節もこんな厳寒の、雪の積もった日だったのです。
穂高の駅を過ぎた頃、美しい景色に引き込まれ降りようとドアの前に立ったのですが、
なんとそのドアが開かずに、そのまま『ガタガタン…』と連結器の軋む音を響かせながら、
ゆっくりと駅を離れていくのです。
降りようとして立ったその姿が滑稽で、
周りの乗客の視線に恥ずかしい気持ちを隠しながら、
いつまでも遠くにそびえる真っ白な山をみつめていたことも、
今となっては良い思い出です。
降車客は、ドア横の『開』のボタンを押して降りてゆく。
ひとつだけ、勉強になった瞬間でした。

お車でお越しになる方が多くなりましたね。
そんな私もここ数年は車での旅が多くなりました。
ホームに張り付く列車の名前のプレートをみつめながら
『昔は看板がぶら下がっていたんやなぁ』等と感慨にふけっておりました。
名古屋の駅で、都会の空気を沢山の乗客とともに列車の中に詰め込んで…
そして息も凍るほどの、透明な大気の中の松本に降り立った時の感動は、
『まぁつもとぉ~まつもとです…』と流れる女性のアナウンスと共に
いつまでも忘れる事のできない、私の宝物でもあるのです。

お客様の地元にある、最寄の駅はどこですか…
色んな思い出と共にずっと心の片すみにのこる駅…
いつまでも大切にして下さいね。

いつまでも…伝統を守りたいと思うこと…

DSC_0168昨年末から商店街などで見かけた凧…
私が子供のころは同級生たちと、
近所の田んぼや校庭までよく飛ばしに行ったものでした。
用紙に願い事や絵を描く…
そして竹ひごと糸のバランスをみながら慎重に組み立てるのだ…
出来あがった凧に〇〇号みたいに名前を付けて大切にするのですが、
凧同士が空で絡まったり、糸が切れて飛んで行ってしまったりした事も、
今となっては、本当に良い思い出です。
いつからか『ゲイラカイト』という外国製の物が
凧にかわって空にはためく時代も今は昔…。

もう何年も前から、凧が大空を泳いでいるのをみかけることが
無くなりましたね。
もしかすると…子供たちもその凧という物が何なのか…
知らない事が当たり前のようになるのかもしれませんね。
そんな消えつつある古き良き伝統のものが、
いつまでも残っていてほしいと思うのです。

先日付近の小学校の校庭へ凧を飛ばしに行ってきました。
地面にそっと置いた凧の周りを嬉しそうに嗅ぎまわるあんず(犬)を置いて
風上に向かって全速力!!
昔のように走れない…あぁ…これも、これも時の流れなのですね。

ここ安曇野では、まだまだ凧が飛ばせる空間がたくさんあるのです。繊月1月と金星2

そして、大晦日に浮かんでいた繊月です。
その2日後には、金星と月のきれいに並んだふたつの輝きに
心をうばわれながら、畦道を歩いていたりするのです。

穂高ビューホテルの敷地からは、こんな大気の冷えた夜…美しい星空も見えるのです。

謹賀新年  今年もよろしくお願いいたします。

燕6謹賀新年

昨年は格別 の御厚情を賜り、厚く御礼を申し上げます。
本年もスタッフ一同、皆様にご満足頂けるよう、
精一杯、心を込めてつとめてまいりますので、
何卒昨年同様のご愛顧を賜わりますようお願い申し上げます。

また、皆様のご健勝を心よりお祈り致します。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

さて、お客様はお正月をどのようにすごされるのでしょうか?
私が子供のころ…もう40年も昔になりますが…
当時は元旦を挟んで7日間ほど、いろんなお店がお休みをされるような時代でしたね。
歳末になると、両親兄妹とみんなで大きな箱の中に食材を買い込んで家路に急ぐ、
その『ぽっ』と心が温まるひと時を懐かしく思い出します。
そして、部屋の片隅に積まれる色んな食材の箱をみて、嬉しかったこともよい思い出です。

今日は元旦。大切なご家族様、あるいは愛する人と
大切な思い出を沢山つくっていってくださいね。

DSC_0163
DSC_01591月1日と2日は恒例の餅つきが行われます。
美味しそうに頬張る子供たちをみていると
しあわせな気持ちになりました。

ぽっかり浮かぶ月のこと…

tuki2信州に住むようになって、いつごろからか月をさがす習慣ができました。
『十五夜お月さん』…
満月になる周期はおよそ30日…
15日周期で満月と新月を繰り返します。
ここ安曇野は、星空が美しい里でもありますね。
ですが、そんな天空にきれいな満月が浮かぶ頃には
その明るさで星が見えにくくなってしまうのです。
年に少しだけの瞬間…雪をいただいた稜線に、かかる美しい月に出会うために
寒い冬の明け方に悴んだ指先に息を吹きかけながら、
じっとファインダーを覗きこむ…そんなひと時も、
大切な、そして贅沢な時となりつつあります。

今日は冬至…一年でいちばん夜が長い一日です。
そんな今日の月は、ちょうど半分だけのお月さん…
明日のお昼前までその姿をみせてくれるのです。

お客様が好きな月の形は、どのような姿をしているのでしょう。
私は…月が消えてから2日目の、見えるか見えないかくらいの儚いくらいに細い二日月。
繊月(せんげつ)
美しい響きですね。

次の満月は、来年の1月14日…安曇野では午後7時前に姿をみせてくれるはずなのです。

一期一会…

安曇野に暮らすようになって、十九年目を迎えます。
ようやく標準語で話すことが自然にできるようになりました。
時間がかかりすぎですね(笑)

『あれっ?にいちゃん関西の人?』
関西方面からのお客様をお部屋まで案内している時に、
お客様の言葉に誘われて大阪弁が出てしまったらしく、
そして『遠くから大変やねぇ、頑張ってね。』
そんな時は、この仕事をさせて頂いて本当に幸せだと感じます。

旅に出たり、そしてまたここで出会った方たちも、
近年はメディアの影響などもあり、方言を使う方が少なくなったように感じますが、
そんな故郷の言葉を大切に守っていってほしいと思ったりするのです。

 DSC_0880_1

一期一会…
ある山小屋でみかけた大きな木の看板です。
この言葉の持つ意味を、ずっと心にきざみ込んで、
日々頑張っていこうと思うのです。

魔法の味に出会う旅…

あれはまだ、私が二十歳代のころ…突然カレーの奥の深さに魅入らされた。
それは、とある料理番組か何かだったように記憶しているが、
『るー』を使わずに、香辛料といくらかの具材だけで素晴らしいカレーを作っているのだ。
子供のころから、好きな食べ物ベスト3の座を明け渡すことなく、
今日までお蕎麦と競って来た黄金の味!カレーライス!!
そしてその番組に感化されてカレー作りに挑戦したのですが…
当時の私には、知っている香辛料は胡椒と唐辛子くらいなもので、
ぼんやり見ていた番組を思い出しながら鍋で煮え立ったお湯の中に適当に刻んでは放り込んで味見する。
…なんかちがう…
カレーとは程遠い味に『とにかく辛くせなあかん…』
ウスターソースとケチャップの魔力を借りて色だけは何となくカレーに近づけるのじゃ…
その後数時間奮闘した記憶までは残っているのだが、
カレーらしき物体がどうなったのかは今も思い出せないのです。 深山カレー1

『100年前のライスカレー』…
その文字を初めて見たのは三年前の厳冬の日でした。深山2深山

ここは奈良井宿の街道から少し離れた所にあるカフェ『深山』
ホテルからは、車で90分程の所にあるのです。
大正時代の建築物を移築復元した古民家で頂く、その時代のレシピを再現したライスカレー。
原型をとどめないほど具材が煮溶けてしまっているのですが、それらの旨みが引き立つ味に仕上がっていて、
またひとつ、木曽の地域で素敵なお店を見つけた喜びにひたった晩秋の日になりました。

 深山3

トラジャコーヒー
カップのふちをなぞる様に揺らめく白い湯気に見惚れていたら、すっかり冷めてしまったのです。
また来るよ…そんな気持ちにさせる素敵な空間でした。

ここ奈良井宿では毎年2月の厳冬期に、美しい氷灯籠に灯がともされます。
ぜひこの美しい揺らぎの中に心をやすめに来てくださいね。IMG_3129IMG_3103

山の中で過ごす至福の時間・・・

閉山祭2

今年も上高地閉山祭が無事執り行われました。
毎年この日…11月15日に河童橋のたもとで執り行われる神事・・・
濃い乳白色のガスがかかる穂高連峰をみあげていると、
この場所にまた…来れる事の幸せを感じます。
河童橋のたもとは時折小雨が降り、
その中を差し込む一瞬の光に映しだされる鮮やかな緑色と
光りの幕が下ろされた時のその色彩のかわりゆく様は、
一喜一憂にも似ているのかな…
などと想いながら、そんな人のこころのうつろいにも似た
景色に見惚れていたりするのです。閉山祭4

 

橋のたもとには、山行を無事におえた達成感とご褒美に、
必ず立ち寄るティーラウンジ『5HORN』があります。
そして今日は特別な日…
今年一年の感謝をこめてコーヒーをいただくのも、
ほんとうに至福の時間なのです。閉山祭1

ここ上高地では、閉山祭をもって、上高地の全施設は営業を終了いたしました。

また来年の春・・・ここで素敵な時間を過ごせますように・・・閉山祭3