緑の色の魔法の粉のこと・・・

私が初めてわさびに出会ったのは・・・
食品会社のチューブに入った半練り状態の物が売り出されるよりも、ずっと前の事でした。
小さな模様の付いた袋に入っている、薄緑色をした粉を水で溶く。
水彩絵の具を溶く要領で、筆の代わりに箸で溶く・・・
色んな絵の具を調合して、時々想像をこえる色に出会うこともできる絵の具とは違い、
どこまで練っても緑の色から変わることはない。
少し水を足して、きれいな薄緑にしてみようかなぁ…
『水…入れ過ぎたら、薄くて美味しくないで。』すかさず横から父の声…
父が練ったなんとなくとろんとした状態の物を横目でぬすみ見ながら、
そしてそれと同じように見える、目の前にある物体を指につけて味見する。
『なんで大人はこんなのが好きなんやろなぁ…』
私とわさびの出会いは、こんなかんじで始まったのです。

醤油の入った皿におとして更に練る。
初めから、水の代わりに醤油で溶いたらええのになぁ…
しかし、それでは味が悪いらしいのだ。
なんとなく複雑な大人の食の世界やなぁ…


ホテルから約20分の所に大王わさび農場があるのです。
花の色が最も白さの際立つのが一番花、春の風に揺れて儚げにうつります。
今は…その花たちが満開を迎えています。
そして五月の半ばにかけて、二番花、三番花と時期をずらして咲いてゆくのです。
そんな山葵の花を天婦羅にしたものも、
今ではこの季節の楽しみのひとつでもあるのです。

あれからすでに40年以上の歳月が流れ、私の家の冷蔵庫には
各種の練食品が鎮座している。
それでも、旬の風味をもとめて山葵や山菜を探しに行く日常が
ほんとうに幸せを感じる一時でもあるのです。

大王わさび農場

http://www.daiowasabi.co.jp/